40: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/16(日) 12:56:54.37 ID:Uf1CGfEh0
「おお神よ、僕をお救いください」
隣室の自称神ことパソコン頭は、ちょうどピザをビールで流し込んでいるところだった。といっても、彼の頭には口がない。では、どこからピザを食しているのかというとディスクの挿入口にぎゅうぎゅうと無理やり詰め込んでいるのだ。
「ついに頭がいかれたか……いや、神を自称していた時点で気が付くべきだった」
「食事中に、いきなり押しかけてきて。いったい何だってんだ」
「君の神の力しか頼れるものがないんだ。僕の中から、僕を消去してほしい」
僕の言葉に、友人は首をかしげた。僕は懇切丁寧に説明をすることにした。今の僕には、はるか宇宙の彼方から送られてきた『僕』という異物が上書きされていること。それが、僕に無上の苦しみを与え続けていること。偽物である僕が消えて、本来の僕に戻ることができれば、この狂った世界を僕は正常に送っていけるであろうということを。
「ごめんよ。神は死んだんだ……」
「ニーチェかよ」
「ネットの神は気まぐれでね、いつどこに降臨するかわからないんだ」
ふと、窓の外をみると丁度深淵が横切るところだった。僕は、その暗闇をまじまじと見つめていると向こうもこちらに気づいたようで、目が合ってしまう。いや、深淵の目ってなんだよ。
「よっ」
深淵は、古くからの友人にふと道で会った時のように軽やかな挨拶をおくってきた。
55Res/61.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20