43: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/16(日) 12:58:22.67 ID:Uf1CGfEh0
僕は、迷わずに再生ボタンを押した。
目が覚めると、僕は僕の部屋にいた。あの汚らしい探偵事務所ではなく、本物の僕の部屋だ。ただ天井がやけに高く感じられる。どうやら、僕は床で寝ていたらしい。
「おいおい、キミはどこから入ってきたんだ」
あまり聞きなれない声をした男が、僕の体をやさしく持ち上げた。
僕は、驚きのあまり「なーご」と鳴いた。ああ、そうかそういうことなのか。
「ふむ。なんでだろうか、僕はキミにシュレディンがーと名付ける気がするんだ」
僕は、自分の顔をさわってみる。肉球がポムポムしてて、気持ちい。ああ、どうやら僕とシュレディンガーは本当に一心同体になってしまったらしい。だけどまあ、いいさ。
僕は、僕の偽物だけど、そんな僕でもまたこの正常な世界で生きていけるのならば。猫の体になってしまうぐらい何ともない。友人や、家族とまた会えるならそれ異常にうれしいことはない。
偽物の僕は、この世界で生きていく。このシュレディンガーの体と、いま僕を持ち上げている本物の僕とともに。
――――――
第二夜 異世界に飛ばされた僕は探偵稼業で食っていく
おわり
――――――
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