不死講
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26: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/04/02(火) 22:32:38.09 ID:4cL6k3Eg0

僕は、あの日もやはり二日酔いに苦しんでいた。
何か二日酔いに効くものは無いかと冷蔵庫をまさぐっていたら、突然、冷蔵庫に怒鳴られたのだ。


「人の腹の中を、勝手にまさぐるな!」


「まだ酔いが抜けていないせいか幻覚が見えるぞ。なんて恐ろしい幻覚だ!冷蔵庫に何も入っていないなんて」


「何を言っている。現実が見えているじゃないか」


「そのうえ冷蔵庫が喋っている」


「ラジカセのお前だって喋っているじゃないか」


……違った、これは昨日の思い出だ。しかも過去の栄光とは程遠いではないか。
ちょっとチューニングをいじってみようか。ぴぴーがーがーがー。お、なんか音をとらえたぞ。これかな。
おお、これだこれだ。これこそ僕の過去の栄光だ。


「ねぇ、キミの研究テーマってなんだったけ?」


かつての恋人が、僕の耳元で優しく囁いている。いや、たとえ異世界に飛ばされたからと言って僕は未だ彼女と別れたつもりはない。
急に消えた僕のことを、それはそれは心配しているに違いない。


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