おじさん「長富蓮実…?」
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4:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 20:55:09.21 ID:vutjDZzWo
 
しかしそれが時間の流れというもの、時代の移り変わりというもの。
人間生きていれば、いくつかの大事にしたいものを天秤にかけて、どれと共に歩むか選ばなければいけないというものだ。

私は最終的に仕事と家族を選んだ。
あれから何年も何十年も歳を重ねた私はイマドキの芸能人───俳優にも、芸人にも、そしてアイドルにもとくに興味を示さなくなった。
五十路へのカウントダウンもとうに始まり、中間管理職としての板挟みの苦痛を金曜夜の冷えたビールで癒やしながら、
愛は冷め情と安心感と義務によってあのときの永遠の誓いを渋々守っている家内に、
近頃距離を感じつつある高校生の一人娘から疎まれる日々。

休日の楽しみは部屋にこもって本を読みふけるか、
ごくたまに会社の仲間と連れ立って未だ扱い慣れないゴルフクラブと格闘し、
日焼けと翌々日からの筋肉痛に耐えること。

今の私は生きがいもない、世間擦れしてしまっただけの名もなき親父だ。

青春とは終わったと思ったときに終わるもの、というらしいが、
私の青春は大人になった私自身に見捨てられ、だんだんと現実に傾いていったその天秤にぶら下がったまま、
ゆっくりゆっくりと死んでいったのだ。



二度を息を吹き返すこともないと思っていた。


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