30:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:46:25.91 ID:vutjDZzWo
「では、私はこの辺で。 またお会いしましょうぞ!」
大げさにブンブンと手を振るワッキー氏に苦笑いすら浮かべながら、遠慮がちに手を振り返す。
彼は秋葉原駅の改札口を入ってすぐ、人ごみに紛れて見えなくなった。
しばらくその場に立ち尽くしていたが、気持ちを切り替えて足を反対方向へ向ける。
この涼しさなら電車でなくても快適だろう。
昔よく通っていたレコード店は、今も変わらぬ品揃えで出迎えてくれるだろうか。
もう一度長富蓮実に会えるその日までに、往年のヒットソングを今一度復習してみるのも悪くない。
中年のくだらないプライドを忘れて、純粋にアイドルを支えようと必死になっていたあのときの感情を少しでも取り戻せればという思いで、万世橋に向かって南に歩いていく。
その時に胸を張って、彼女に「ファンです」と名乗れるように。
【終わり】
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