2:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 20:52:14.11 ID:vutjDZzWo
高校時代はアイドルたちと共に生きたと言って差し支えなかろう。
金などなく、レコードを買い集めたりコンサートを頻繁に見に行くなど満足に叶いはしなかったものの、
新聞のテレビ欄を毎日穴の開くまでチェックを重ね、彼女らが出演する番組は全てビデオテープに記録し、ラジオもことごとくカセットに録音してあった。
テレビで見る彼女らはまことに凜々しく、麗しく、見ている間は息も止まった。
歌声は儚く、美しく、聴いている間は時間を忘れることができた。
写真集が出るとなれば、発売日の放課後に本屋へ走り、同じ趣味の友人たちと金を出し合い、公園で隅々まで眺めた。
暗くなれば街灯の下に移って尚も読み続けた。帰りが遅くなって親に叱られても気に留めなかった。
誰の家に保管するかで言い争いもした。
私の実家は狭く隠し場所がなかったので、いつも保管場所になる金持ちの友人が心底恨めしかった。
見かねた友人が、付録のポスターだけを私にくれたりもした。
笑ったままの彼女たちはいつ見ても、現実にこんな女の子が本当にいるのかと、信じられない気持ちにさせてくれた。
天井を眺めるたび彼女らに会える気がして、狭くて散らかった自宅も居心地がとても良かった。
周りからはろくに恋人もできない寂しい青春に映ったかも知れないが、
それでも私の人生は彼女たちのおかげで輝いていた。
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