16:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:08:05.73 ID:M4jexkrI0
◆
「久しぶりの再会なのにずっとだんまりだね。どしたの? 声をかけてきたのは千聖ちゃんでしょ?」
雪の舞う仙台の住宅街で、あたしは挑発するように千聖ちゃんへ言葉を投げる。
あたしの手を取ってから千聖ちゃんは何も言わない。いや、何を言うべきか迷ってるみたいだった。だからあたしはそれを後押ししてあげようと思った。
「大丈夫なの、悲劇の女優さまがこんなところにいて? 見つかったら騒ぎになって大変になるんじゃない?」
「……あなたがそれを言うの」
千聖ちゃんの声は震えていた。きっと怒ってるんだろうな。三年前、身勝手なあたしに散々振り回されたんだから当たり前か。
「言うよ。でもよかったね。あの騒ぎのおかげで千聖ちゃんももっと有名になれて、彩ちゃんだって今はソロで頑張ってるじゃん? イヴちゃんもモデルさんで大活躍、麻弥ちゃんだってアシストドラマーとして名を馳せて、みーんな幸せ――っ」
頬に熱い衝撃を感じた。言いかけた言葉が途切れる。もう怒りの形相を隠そうともしない千聖ちゃんがあたしの頬を張ったからだった。
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