73: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2019/01/03(木) 20:20:53.54 ID:p8Id/7Jt0
東京へやってきてアイドルになり、新しい知人たちが増えて、巴がまず考えたことは、将棋を指せる奴はいるだろうか、ということだった。
同僚アイドル、事務所の職員、そして自分の担当プロデューサーと、指せるものはそれなりにいた。巴は喜び勇んで対局を申し込み、その全員に土をつけた。
勝つことはもちろん嬉しい。しかし同時に、「こんなものか」と残念に思う気持ちもあった。
将棋というゲームは、ある程度以上の実力差があれば、百戦して百回とも強い方が勝つように出来ている。やはり、それなりに実力が伯仲している者同士でないと面白いものではない。親元を離れてみると、身近に巴と戦える者はいなくなっていた。
最近はネット将棋というものも始めた。
これは回数をこなしていくうちに、同じくらいの力量の者同士が当たる仕組みになっている。ネット上では沢山の強者がひしめき合っていて、ここでは巴も勝ったり負けたりの勝負を楽しめていた。
しかし、顔も名前も知らない相手では、なかなか戦っているという実感が湧かない。できれば面と向かって、盤を挟んで指し合いたいというのが本音のところだ。
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