魔王「停戦協定を結びに来た」受付「番号札をとってお待ちください」
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29: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/01/06(日) 22:19:26.11 ID:wCydXtek0

 そもそもアトレイは生粋の魔王ではなく、その出自故に、恐らく人間族には面が割れていないという確信があたしにはあった。寧ろ、傭兵なんて賎業に身を窶すあたしのほうが、いくらか知られているかもしれないくらいには。
 だからあたしが気づかれていない以上、アトレイも気づかれない。証明終了。

「……」

 出会ったのがもしもこんな人通りの多い場所ではなくって、たとえば荒野の片隅であったり、あるいは大森林の奥深くであったり、もしくはあたしやアトレイの塒であったりしたのならば、何の心配もなかったろう。
 だけど、いまはだめだ。アトレイは停戦協定を結びに来ている。結ぼうとしている。あたしは傭兵として、雇用主の意を極力汲む義務がある。

 こんな街中でドンパチをおっぱじめては、何もかもがおじゃんになってしまう。

「どうでしたか、首尾は」

「受け取ってはもらえたよ。あとは向こうがどう出るかだな」

「ま、ま。それは歩きながらでも話しましょうよ」

 立ち上がり、歩き出す。なるべく四人から離れたかった。




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