魔王「停戦協定を結びに来た」受付「番号札をとってお待ちください」
1- 20
12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2018/12/31(月) 22:02:09.60 ID:sCIvJdmA0

 取り出した魔術符に刻まれた式を、おじさんは矯めつ眇めつしていましたが、すぐに首を横に振って、

「いやいや、俺はそんな冒険者じゃあねぇからな、腕と脚がってなぁ……。それに、申し訳ないが、知らんやつの治癒魔法なんて怖くて使えねぇよ。
 嬢ちゃんはエルフの、なんだ、おのぼりさんか? それでも金を知らねぇのは珍しいが、ならまずは、庁舎にいって換金してもらうといい。ここをまーっすぐ歩いていくとある、石造りの立派な建物だ」

「あぁ、はい……」

 まるっと無駄足になってしまったようです。うーん、アトレイに合わす顔がないというか、意気揚々と出かけての釣果がこれでは、面目が立たないというか。

「あ」

 そうだそうだ。あたしは袖をごそごそ漁り、親指の爪くらいの大きさの、黒紫色にぼんやり光る鉱石を取り出しました。

「鉱瘴ではだめですか? これくらいの大きさなら十分ですよね?」

「おいおい、十分を通り越してるって。ここの商品全部買えちまう」

 おじさんは困った顔で言いました。黙っていればよかったのに、と思いますが、そうできないたちなのでしょう。あたしなんかとは大違い。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
40Res/29.88 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice