128:1[saga]
2019/06/17(月) 20:19:50.74 ID:eMFfSVab0
「巧!戦え!」
この状況で巧に戦えと…光太郎はそう促した。
それでも巧はまだ狼狽えたままだ。
無理もない。相手はライダーたちを圧倒した正体不明の戦士。
普通の人間がまともに戦える相手ではないのだから。
「俺には無理だ…俺はアンタたちみたく戦えない…俺には大切なヤツなんて…」
巧は思った。光太郎たちが戦えるのは大切な人間がいるからだ。
だが自分には大切な人などいない。
これまで誰かを傷つけたくないから孤独に生きてきた。
そんな自分に守るべき人間などいるはずもないと巧は思っていた。
「そうじゃない。巧、お前にだって守るべき大切な人がいる。」
「その手にちゃんと掴んでいるじゃないか。」
「お前にも守るべき大切な人がいるんだ!力はそのためにあるんだ!」
光太郎に言われて気づいたが巧はずっと弦太郎の小さな手を掴んでいた。
守るべき大切な人。それが隣にいる弦太郎なのかはわからない。
だが今は光太郎の言うように戦うしかない。
そう決意した巧は全身に力を込めた。
そして身体が人間から異形の姿へと変貌していく。
全身はまるで死をイメージした灰色で野生の狼を象った姿。
そんな変貌を遂げた巧を見て金色の戦士は一言こう呟いた。
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