44:名無しNIPPER[saga]
2018/12/28(金) 22:10:54.45 ID:JbQZeQhn0
「アイツが年越しすりゃ、俺とアイツはますます離れていっちまう。
たかが一年くらい、俺だけのために足踏みしてもらいたかった、って……そんだけだ」
「――ハッハッハッハ」
なんて身勝手な理由だろう。
あの男は、この人の気まぐれのせいで一年を棒に振るのか。
「懲戒免職待ったなしだ」
「大丈夫だよ。これまでも気にくわねぇ奴の年越しを何度も放置してきたが、口頭注意で済まされた」
「何度もあるのかよ」
「俺も何だかんだ重鎮だし、今さら当局も辞めさせられないんだろう。
ま、アイツもどうせ無為に過ごしてんだろうし、俺のために棒に振る一年なんざ安いもんだ」
「ジイサンが言うことじゃないだろ」
不謹慎だけど、あまりに清々しい不条理さに、腹の底から笑い転げた。
男二人、深夜の住宅街で、大声で。
近所迷惑を考えなくていいのは、このバッジを付けて初めて感じる有り難みだった。
「さて」
お互い、ひとしきり吐き出した所で、ジイサンはおもむろに手を差し出した。
「お前が辞めること、当局には俺から伝えておく。
世話になったな」
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