年越し代行
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39:名無しNIPPER[saga]
2018/12/28(金) 21:54:36.61 ID:JbQZeQhn0
 ――今の時代に留まりたいと願うだけで、本当に年越しができなくなるものなのか。
 にわかには信じられないが、実際こういう仕事に携わっているのだから、疑う余地は無い。

 だが、いま一つ腑に落ちない。

「今の時代がいいと思う人間もいれば、こんな時代は嫌だ、時代を変えたいと願う人間もいるはずだ。
 なぜ、誰も彼もが自分で年越しをできなくなったんだろう」

 僕が首を傾げると、ジイサンは手に持ったタバコをどこか得意げに振った。

「人間が、じゃない。この国がだ」
「国が?」


「どんなに無謀なガキでも、時が経てばそれは失われ、どんどん保守的になっていく。
 歳とともに重ねた自負と恥で、得てきたものを失う恐怖に囚われる。
 つまり、それと同じことだ」

 タバコの火を物憂げに見つめ、彼は続ける。

「それだけ、この国も歳をとったということさ。
 あの頃が良かったと、懐古主義に走りがちな老人になった。
 だから、年越し代行という介護者が必要になったんだろう」


「国の年越しにも介護が必要な時代、か……笑えないな」
 僕が鼻で笑うと、ジイサンも笑って、かぶりを振った。

「俺が言いたいのは、正しいとか間違ってるとか、そういう話じゃない」



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