年越し代行
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38:名無しNIPPER[saga]
2018/12/28(金) 21:51:41.50 ID:JbQZeQhn0
「何で、って……代わりにやるからだろ? 年越しの手続きを」
「質問が悪かった。じゃあ、何で代わりが必要なんだ?」
「それは……」

「昔は、自分でできたのさ。
 いや……自分でやらなければならなかった、の方が正しいかもな」


 タバコを地面に落とし、靴底で踏んづけながらジイサンは鼻で一つ息をついた。

「苦しい状況から脱却しようと、死に物狂いだった。
 立ち止まっていたら、取り残される。それが許されるような時代じゃなかったのさ。
 だから、食らいついた……自分で無意識に、どうにか自分自身を次の時代に送っていた」

「モラトリアムな人間が増えた、ってことか」
「横文字は分かんねぇが」
 肩をすくめて、ジイサンは笑った。
 もう一本タバコを出したので、僕がライターを取り出して火を向けると、彼は手刀を切った。


「平たく言やぁ、時代の流れってヤツなんだろうな。
 今の時代がいい、留まりたいと、潜在的に願う方向へ風潮が傾いていった。
 それだけ人の暮らしが豊かになったんだろうが、放っておくと社会が停滞しちまう。
 だから、この仕事の需要が高まった」



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