26:名無しNIPPER[saga]
2018/12/28(金) 21:17:21.53 ID:JbQZeQhn0
この仕事を続けていく限り、僕達は世界の誰とも繋がらない。
誰かにとっての特別にもなることは無い。
いたかどうか分からない時代遅れの変人として、誰の記憶にも残らず、ずっと。
それがたまらなく嫌で、一度、仕事終わりに、どこかの公園のブランコに落書きをしてみた事があった。
僕が確かにそこにいたという、存在の証明を残してみたかった。
当然、年明けにはその記憶はすっぽり抜け落ちて、ジングルベルで思い出した時には、ブランコは撤去されていた。
ヤケになり、万引きをしてみた事もあった。
愛とか友情ではなく、恨みや憎しみでもいい。僕をつなぎ止めてくれる何かがほしくて。
でも、それは失敗した。
バッジの電源をオンにしたままだったのだ。
コンビニの店員は、僕に万引きをされた事に気づかなかった。
記憶を無くして目が覚めると、僕の目の前にあった少年ジャンプに、何でこち亀が無いのかが分からない。
次の年末に思い出し、同じく万引きをしてやろうと思い立ったが、負の行いでしか爪痕を残せない自分がひどく情けなくなり、とうとうできなかった。
「ジイサンは、この時代に何かを残したいって、思ったことないのか?」
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