7:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/24(月) 22:19:24.77 ID:dEp6YdU10
「私はちゃんと知っています」
「何を?」
「あなたが積み上げてきた、善行の数々を」
サンタは語る。自分でも忘れていた善行を。
「あなたは雨に濡れた子猫を拾いました」
「ああ。でも、この家では飼えなくて……」
「飼ってくれる人を探したのですよね?」
そう言えば、そんなこともあった。
このボロアパートでは動物の飼育は不可。
先行きがわからない保健所に任せるのは論外。
だから、雨の中、飼い主を探して歩いた。
「あの子猫は、今でも元気です」
「どうしてわかるんだ?」
「ついさっき、ご近所にお住まいの飼い主さんへプレゼントを届けた際に、確認しました」
それが、嘘か本当かは知らないけれど。
「そうか……それは、良かった」
しみじみと、安堵した。無駄じゃなかった。
「他には、道に落ちてた財布を拾って……」
「ああ、もう良いよ」
「どうしてですか? せっかく良いことを……」
「褒められたくてやったわけじゃないからな」
あの子猫が元気とわかっただけで充分だった。
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