23:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/24(月) 23:04:04.24 ID:dEp6YdU10
「……嬉しい」
勢いのままに気持ちをぶつけると、喜ばれた。
本当に、嬉しそうな笑顔だ。そこで気づく。
その笑顔を望み、これで、願いは叶ったのだ。
プレゼントを配る、彼女の仕事は終わった。
「来てくれて、本当にありがとな」
「感謝はいりません」
「仕事だからか?」
「いいえ。私はもう、無職ですので」
「は?」
「サンタは人に見られてはいけないのです」
つまり目撃された時点で無職だったのか。
そこまで重い処分が課せられるとは。
しかし、子供に夢を贈る存在だからな。
万が一にも、目撃されてはいけないのだろう。
「悪いな。俺が、起きちまったから……」
「違います。わざと、起こしたのです」
「わざと?」
「でなければ、うんちなんて我慢しませんよ」
くすくすと、してやったりと、小悪魔めいた蠱惑的な笑みを浮かべる、元サンタ娘。
始めから見つかるつもりだったらしい。
そのために、このボロアパートへ来たのだ。
「なんで、そんな……」
「好きだから」
そう言われても、好かれる根拠などない。
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