勇者「彼は正しく英雄だった」
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63:名無しNIPPER[saga]
2018/12/27(木) 23:25:41.08 ID:hSRFEIsWO

両者の動きは明らかに違っていた。

戦士の繰り出す素早く重い攻撃に対して、傭兵は防御に徹することしか出来ていない。

初見ながらに防いでいるのは、並外れた経験あっての業だろう。

しかし押し切られるのも時間の問題。

尚も苛烈な攻撃を仕掛ける戦士は先程と変わらぬ獰猛な笑みを浮かべている。

一方、魔法使いは焦っていた。

(人間相手に何も出来ないのは初めてだ。ううん、これで二度目……)

これまで協力して戦った経験は一度もなく、無論、援護に徹したこともない。

才能はあるが経験がない。攻撃以外に魔力を生かす方法を知らない。

受付嬢が危惧した通り、経験不足。

このままでは二対一で戦うことすら出来ない。

数の優位を一切活かせないまま、実質一対一で勝敗は決する。

(密着してる。距離を取ろうとしてるけど、すぐに詰められてる。あれじゃ火球を放ってもオッサンに当たる。攻撃じゃダメなんだ)

魔法使いは考える。

自分が攻撃せずに戦士を倒す方法、傭兵に戦士を倒させる方法を。



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