勇者「彼は正しく英雄だった」
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371:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 23:08:58.59 ID:IrdoZQX9O

兄とも父とも呼べない師という存在が、父の愛を求める少年の支えになったのは想像に難くない。

そして年齢を重ね、師は国王によって祖国を滅ぼされた傭兵、亡国の傭兵であることを知った。

素性を知っても師への信頼が揺らぐことはなく、祖国を滅ぼした憎き国王、その息子である自分に笑いかける師を、彼は敬った。

それと同時に、何かを守る為には如何なる屈辱や苦痛にも耐えなければならないと知ったのだ。

(そうだ、どんな痛みにも……)

勇者は遂に迷いを振り払った。自分にも守らなければならないものがあると意を決した。

攫われた僧侶と子供達。狂った国王に生贄として差し出された民を一刻も早く救い出さなければならない。

そして、その狂った王を打倒する為には此処で終わるわけにはいかない。

勇者は逃げ回るのを止め、師に立ち向かうべく駆け出した。



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