4:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/19(水) 23:06:44.71 ID:uEGK3sYu0
「こんな風に、突発的な衝動に任せて抱きついた後、失敗したなとか、やめとけば良かったとか、そう思わせないように振る舞いなさい」
「わ、わかったから、離してくれ」
「はあ……零点」
焦りに焦って解放を懇願すると離してくれた。
しかし、たっぷりと溜息を吐かれ、挙句に零点と採点された。他にどうすりゃ良かったんだ。
幸いなことに、教室内には他の生徒は居らず、事件の一部始終を目撃されることはなかった。
もしも、谷口辺りに見られていたら、過剰なまでのド派手な尾ひれが付いた噂を流されて、俺の高校生活は終わりを迎えていたことだろう。
「どうしてあんたなのかしらね?」
「だから、なんの話だよ」
「はあ……マイナス273.15点」
絶対零度の溜息を吐かれて、凍えそうだ。
「妹ちゃんはあんなに可愛いのに……」
「そりゃあ、俺の妹だからな」
「だからそれが奇想天外なのよ、バカ」
どうやら俺は、奇想天外な兄らしい。
「あんたも妹ちゃんと同じ女の子なら、少しはマシだったのかも知れないわね」
「間違いなく、美少女だっただろうな」
「その根拠はともかく、女同士ならみくるちゃんや有希と同じように気兼ねなく抱きつけるのに……なんで男に生まれてきたのよ、このバカ」
どんな怒り方だ。文句はお袋に言ってくれ。
「ま、生まれてきたこと自体は褒めてあげる」
どんな褒め方だ。ちょっと嬉しいじゃないか。
なんて、嬉しがっている場合ではなかった。
まさかこの日の雑談があんな結果を生むとは。
その時の俺には、まるで思いもしなかった。
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