22:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/19(水) 23:55:20.24 ID:uEGK3sYu0
「佐々木、こっち向いて」
きゅっと手を握って呼びかけても、無反応。
代わりに、佐々木もきゅっと握り返してきた。
照れ顔が拝めないのはとても残念だけれども。
こういう返事の仕方も、悪くないと思った。
「なんか、色々ごめんね?」
諸々のことを謝罪すると、また手を握られた。
「私なりに、なんとかしてみるから」
また、手を握られる。言葉は要らなかった。
手を繋いだまま、佐々木の後ろ姿を眺める。
私は寝たままなので、変な感じだった。
まるで事が終わった後のような、雰囲気。
いや、もちろんやましいことは何もないけど。
どうしてだか、そんなやましい気持ちになる。
暫くして、佐々木が小さく鼻歌を奏で始めた。
昔何処かで聴いたことのある、古い洋楽。
歌に合わせて、つま先に引っ掛けたスリッパを揺らして、リズムを取っている。上機嫌だ。
もしかすると、照れ隠しなのかも知れない。
よく見ると、耳が赤い。可愛いなと、思った。
鼻歌はまるで子守唄のように私を眠りに誘う。
「キョン」
「ん?」
「余計なお節介を焼いて、すまなかったね」
「どうしたの、突然」
「キミならきっと、上手くやれると思ってさ」
「……出来るかな?」
「勿論。だってキミは、僕の親友だからね」
流石にそれは買い被りすぎだと思い、文句を言おうにも、眠くて仕方がない。今日は疲れた。
「キョン……頑張って」
眠る間際に、額に柔らかな感触が、伝わった。
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