21:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/19(水) 23:52:32.99 ID:uEGK3sYu0
「佐々木、そろそろどいて」
「ああ、すまない。重かったかい?」
重くはない。まるで羽毛布団のような軽さだ。
しかし、いつまでも上に乗られては困る。
精神衛生上、よろしくない。心臓を労わろう。
「やれやれ、慣れないことをすると疲れるね」
くつくつと、いつものように喉の奥を鳴らし。
軽やか且つ上品に、私の上から降りた佐々木。
そのままベッドの端に腰掛け、長い脚を組む。
手は後ろ手に身体を支えていて、目と鼻の先。
「佐々木」
「なんだい、キョン」
「手、繋いでいい?」
つい、思ったことが口に出てしまった。
なんとなく、衝動的に繋ぎたくなった。
恐らく、叱られた後の子供の心境と思われる。
怒らせた相手に嫌われてないか、不安なのだ。
「そのくらい、お安い御用さ」
どうやら、佐々木はもう怒っていないらしい。
快諾して、手を差し伸べてきた。ほっとする。
私は寝たままの姿勢で、恐る恐る手を重ねた。
すると、すぐに指の股の深くまで侵入された。
そこには、人類の進化の過程の名残があって。
私の指の付け根の水かきに、佐々木が触れる。
それだけで、頭が変になる。気持ち良かった。
「あまり嬉しそうな顔をしないでくれたまえ」
「なんで?」
「……僕だって、照れる」
佐々木が照れる? そんなことが有り得るのか。
常日頃クールな彼女のレア顔を見ようとして。
視線を向けると、ぷいっとそっぽを向かれた。
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