【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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73: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/19(水) 16:45:09.38 ID:ER7oh7KA0


阿武隈と一対一の同航戦状態にあった軽巡ホ級が急激に旋回し、進行方向を変えた。

阿武隈のいる方角に向けて真っすぐ進んでくる。

砲撃はおろか回避のための之字運動すらしようとせず、全開全速の直進航行。


「……体当たりでもするつもり!?」


阿武隈の腹の底が冷たくなった。


(……でも、逃げるなんて真似しない! あたしだって、やれば出来るんだから!)


阿武隈は主機を止め、正面から軽巡ホ級に向き直った。


(大井さんみたいに片手で扱うわけにはいかないけど……)


向かってくるホ級に20.3cm連装砲の砲口を向け、両手で照準を合わせる。


(相手の射程に入る前に、確実に仕留める!)


『阿武隈! 何やってんの、さっさと撃ちな!』


北上が隊内通信で呼び掛けてくるが、阿武隈は引き金を引かなかった。


――もう少し。もう少し近付いて来い。もう少し近付いて来れば一撃で仕留めてやる。


『馬鹿! 阿武隈! 早く撃つの! 撃ちなってば!』


北上が悲鳴にも似た焦りに満ちた声をあげる。


『ああっ、もう!』


北上は、単装砲の集中砲火で目の前の雷巡チ級の胸を貫くと、身体を捻って振り向きざまに魚雷を発射した。

ろくに狙いもつけずに放たれた魚雷は当然命中することはなかったが、雷跡を避けるために一瞬ホ級の態勢が崩れ前進が止まる。


(……ここ!)


「がら空きなんですけどっ!!」


阿武隈の構えた20.3cm砲が火を吹き、狙いはあやまたずホ級の首元に命中した。

爆炎が吹き上がり、ホ級の上半身が悲鳴とともに炎に包まれる。

宙をかきむしるように身をよじり、のたうつ異形の獣。

その姿は一瞬燃え上がる彫像のように固まった後、無念そうにゆっくりと、海の底に沈んでいったのだった。





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