【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
1- 20
61: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/19(水) 15:58:40.66 ID:ER7oh7KA0


阿武隈は大声で主張したい気持ちをぐっとこらえる。


「……けど北上さん。そろそろあの子に構うの控えたらどうですか?正直、本人も迷惑がってるみたいですし……」

(そうそう大井さん! もっと言ってやって!)


建物の壁に隠れながら、阿武隈は拳を握りしめ、こくこくと頷く。


「ん〜、なんてゆーかさぁ、あいつがどこまで行けるのか、どんな艦娘になるのか、見てみたいんだよねぇ」


頷く首の動きが止まった。


「なんだかんだ言ってあいつ、どんだけ厳しくしても歯を食いしばって最後までついてくるしさぁ。根性と負けん気あるのは、大井っちだって認めるっしょ?」

「それは……まあ……。……でも、あの子、ちょっと失礼というか、北上さんに気安すぎやしません?」

「なーに、大井っち? ひょっとして、妬いてんの〜?」

「……もう。北上さんったら、意地悪です」


恨めしそうな上目づかいになる大井に、北上がけらけらと笑う。


「確かにあいつ、くっそ生意気だし、口は悪いよね〜。……けどさぁ、大井っち。気づいてた?」


背もたれに預けていた体重を戻し、北上はテーブルに身を乗り出す。


「どれだけこっちがキツく当たっても、どんだけ自分が腹立てても、さ。……あいつ、『死んじゃえ』とか『沈んじゃえばいいのに』とかは、ただの一度だって言ったことないんだよ? これって、凄くない?」



……そんなこと。



……そんなことには。



……自分でも気づいていなかったのに。





「……なんてゆーのかな、さすがキスカ撤退作戦の英雄艦、ってゆーの?」



……なんでそんな風にあたしを語るんだろう。



「……一人の敵も殺さずに、一人の味方も死なせずに、あの奇跡の作戦をやり遂げただけのことはある、ってゆーかさ……」



……なんでそんなキラキラした顔で、あたしのことを語るんだろう。



「前にも言ったけどさぁ、あいつ絶対、いい艦になると思うんだよね〜。スペックとか戦果とか関係なく、みんなを助けて、みんなを守れる――そんな艦にさ」




――気がつけば、握りしめていたはずの拳からはいつの間にかすっかり力が抜けていて。



阿武隈は足音を立てないようにそっと踵を返し、その場から離れた。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
155Res/185.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice