【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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136: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/20(木) 16:11:03.55 ID:dKCyvHSA0


「げっ! 提督っ!? ……って、あだだだだ」


大井や五十鈴ほか数名の艦娘をぞろぞろと連れ立って現れた提督の姿に、慌てて立ち上がろうとした北上が、全身の痛みに呻きながら悶絶する。

その姿を見て吹き出しそうになった阿武隈が、同じく顔面をおさえて悶えてたりするのだが、そんな事を気にしている場合ではない。


『艦娘同士ノ私ノ闘争ヲ禁ズ』


――あくまでも建前上のこととは言え、これは軍規にも明記されているルールだ。場合によっては営倉入りや外出止めの処分も有り得る。この状況は、あまりにもまずい。

だが、必死で言い訳を考えようとしていた北上をよそに、阿武隈は、


「あ、提督、お疲れさまですぅー」


と、座り込んだまま、緊張感のない様子でへろへろと手を振った。

さらには、それに対する提督の方までもが、


「おう、派手にやったみたいだな。……あ、北上。立たなくていいぞ。座っとけ座っとけ」


とあっけらかんとした態度で声をかける。

理解が及ばないでいる北上に、傍らから進み出た大井が、


「北上さん、夜間演習、遅くまでお疲れさまでした」


と澄まし顔で濡れタオルを手渡してきた。


「え……なに、どゆこと」

「なにって……阿武隈から申請のあった、白兵戦技の演習だったんだろ? いや〜、与えられた休暇を潰してまで自主的に訓練に励むとは、感心感心」

「ええ、さすがは北上さんです」


白々しい会話と、その向こうで妙に自慢げなドヤ顔をかましている阿武隈に、そういうことか、と察して北上も苦笑する。

どうやら、自分の知らないところで、いろいろと根回し済みだったらしい。


「意外と周到……っていうか、腹黒……っていうか……。うん、前言撤回するわ。……あんた、やっぱ、旗艦向きかもね」


「でしょでしょ! 北上さんを遠慮なくぶん殴るためだもん! あたし、頑張った!」

「こ、こいつっ……!」


ひょっとしてこいつ、本当にただ口実つけてあたしをぶん殴りたかっただけなんじゃあ……と北上が複雑な表情を見せる。


「……それで北上さん。北上さんが出してた教導艦の交代申請の件ですが……」

「あ〜、そっちも撤回。ポイしちゃって、ポイ」


北上は大井にひらひらと手を振って溜め息をつくと、空を見上げ……そして、そのまま動きを止めた。



「うわ……」




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