【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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◆axPwtNeSoU
[saga]
2018/12/20(木) 16:09:07.63 ID:dKCyvHSA0
――――
――
そこからはもう、酷いものだった。
さんざんに殴り合い、蹴り合い、掴み合って、転げ回って。
最後の方は、お互い髪は引っ張り合うわ爪は立て合うわ泥は投げつけ合うわ訳の分からないことを喚きながら罵り合うわで……何というかもう……グダグダだった。
今は、二人とも息も絶え絶えといった体で、大の字になって並んで転がっている。
雨はとうに止み、雲の切れ間からは夏の星空が久しぶりに顔を覗かせていた。
熱を持った身体に、吹き抜ける風と冷たい濡れた地面が、むしろ心地いい。
「くっそぉ引き分けかぁっ……。……結局、勝てなかったぁっ……」
「まあっ……あたしが、ちょっと本気出せばっ……こんなもんよっ……」
悔しそうな阿武隈に、荒い息をつきながらも北上がどうにか強がりを返す。
「っていうかあんた……見た目の割に、喧嘩慣れし過ぎでしょ……」
「あのお姉ちゃんたち相手に、反抗してきた……末っ子の底力、舐めないでよね……」
「あ―、なる程……」
そーいやあたし、大井っちとはもちろん、球磨姉や多摩姉、木曾っちとも、まともに喧嘩したことなかったっけ……と、これまでの自分を振り返り、こっそり反省する北上である。
「けど、まあ、あれだ……その」
あちこち痛む身体を起こして地面に座り直し、改めて北上は阿武隈と向かい合う。
「……とりあえず、あたしはあんたを、もう舐めない。だから、まあ、その……また、追いかけて来なよ」
不意を突かれたようにきょとんとした阿武隈が、一拍おいて、にやりと笑った。
「それじゃ……左手での握手だね」
左手を出し合い、軽く握り合って、すぐ離す。
仲直りではない。これは――ライバル宣言だ。
「……しっかし、こりゃ、明日は酷いことになりそうだよねぇ……」
「覚悟はしてる……」
照れ隠しのように話題を変える。
普通の人間に比べれば回復力も遥かに高い艦娘とはいえ、これだけやらかせば、おそらく、まる1日やそこらは痛みに呻くことになるだろう。
「大っぴらにする訳にもいかないだろうし……こーなりゃ、秘書艦権限でこっそり資材置き場からバケツちょろまかして……」
何やら悪だくみをはじめた北上の背後から。
非常に聞き覚えのある声がかけられた。
「ほう……興味深い話だな?」
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