【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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124: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/20(木) 15:09:50.68 ID:dKCyvHSA0


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夜の工廠裏。

建物の外に据え付けられた飲み物の自販機が、傍らの空き地に光を投げかけている。

1日降り続いた雨は夜になってようやく勢いを弱めていたが、今もなお、ぱらつく小雨が、空き地に生い茂る雑草の葉をそれとわからぬほどに揺らしている。

傘を持たずに来たのは失敗だったかも、と思いながら、北上は人待ち顔で立ち尽くしていた。


「おっそいなー、大井っち……」


しっとりと湿り気を帯び始めた制服のスカーフを指先で弄びながら、小雨に煙る遠くの景色にぼんやりと視線を向ける。

こうして独りで待っている時間はやけに苦痛で、早く終わって欲しかった。


(詳しいとこまでは大井っちから聞けなかったけど……あいつは、ちゃんと独りで正解に辿り着いたっていうのに)

(あたしはずっと変わらず……こうしておんなじところに立ち止まったまんまだ)


――早く大井っちに来て欲しい。早くこの時間を終わらせて欲しい。


――独りでいると、余計な事ばかり考えてしまう。


――自分のした決断は正しかったはずなのに。


――後悔はしないと決めたはずなのに。



(いや、後悔じゃないね。これは…………未練だ)



と、その時。

濡れた地面を踏む革靴の音が、背後から耳に届いた。

やっと来たか、と北上はほっとしたように振り返り……僅かにその表情を固くする。



「…………阿武隈」


「大井さんは……来ません。……あたしがお願いして、北上さんをここに呼び出してもらったんです」




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