【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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123: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/20(木) 15:05:44.89 ID:dKCyvHSA0


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「……本気か?」

「はい! お願いします!」


雨の中、傘も差さずに走って来たのだろう。

提督の執務室にいきなり飛び込んできた阿武隈は、自慢の髪や制服からぽたぽたと水滴を滴らせていた。

だがその両の瞳には、絶対に引き下がるものかという強い意志が宿っている。


「……阿武隈。大井から聞いたと思うが、北上はお前の教導を……」

「まだです!」


提督の言葉を遮って阿武隈は言い返す。


「大井さんはさっき、五十鈴お姉ちゃんに言ってました! 『明後日から』教導を引き継げって! 今日と明日、北上さんはまだあたしの教導です!」

「……確かにその通りですね」


視線を向けた提督に対し、神妙な顔つきで大井が答える。その口元が……ほんの少しほころんでいるのは気のせいだろうか?


「ふむ……。 だが目的はなんだ? 個人的にけじめを付けたい、というだけか?」

「……それもあります」


ふむ、と提督は顎を撫でる。


「……だけど、それだけじゃありません。これは……救出作戦なんです」

「……どういう意味だ?」


阿武隈は一瞬目を閉じて息を吸い込むと――目を見開いて、まっすぐ提督と視線を合わせた。


「……馬鹿な雷巡が一人、迷子になっています」


提督の眉がぴくりと動く。


「……過去に閉じこめられて動けずにいるその馬鹿を、あたしは助けたい」

「……」


提督は無言のまま、阿武隈の目を見つめる。

阿武隈がしっかりとその視線を受け止める。


「……成功させる自信はあるのか?」

「自信じゃありません。あるのは、覚悟です」


阿武隈が言い切った後、部屋の中に沈黙が満ちる。

数秒か、数十秒か、数分か。


そして―――提督は、断を下した。


「いいだろう、軽巡阿武隈、作戦を許可する! ……馬鹿を救い出して、必ず連れ帰って来い!」

「ありがとうございます、提督! 阿武隈……ご期待に応えます!!」




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