【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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125: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/20(木) 15:16:28.36 ID:dKCyvHSA0


自販機の光が互いの半身とまばらに降り注ぐ小雨の粒だけを照らす中、夜の空き地で2人の艦娘が対峙する。


「……手の込んだ真似してくれるじゃん」


沈黙に耐えかねたように、視線を逸らしながら先に口を開いたのは、北上の方だった。


「奇襲としては、割と効果的だったよ。うん、偉い偉い。 で……何の用さ? 聞いたと思うけど、あたしはもう……」

「……大井さんから聞きました。北上さんの、記憶のこと。前世でのこと」

「っ……!」


自分の言葉を遮って放たれたその声に、へらへらと薄笑いを浮かべようとしていた北上の表情が一瞬こわばる。

そのこわばりが解けるに従って、代わりに浮かぶのは……力ない笑み。


「あ〜……。そっか、話したんだ、大井っち……。……うん。ま、しゃーないか。知らないままってのも、フェアじゃないだろし。……うん、しょうがないよね」


居心地悪げに左手でスカーフを弄びながら、北上は足元の地面に視線を落とす。


「……まあ、何ていうかさ……。 悪かったよ。……あたしの、くっだらない、個人的な感傷に巻き込んじゃってさ。 ……あんたにしてみりゃ、たまったもんじゃないよね。自分の知らないところで勝手に期待を積み上げられて。挙げ句の果てには勝手に失望されて、責められてさ。……はは、旗艦失格だなんて……どの口で言えたんだか、って話だよね」


阿武隈は応えず、ゆっくりと北上に向かって歩みを進める。


「……今回の件で、あたしもとことん、骨身にしみたよ。反省した。あたしの方こそ、教導失格だった。……うん。だから、もうおしまい。 あたしは、あんたの教導を降りる。二度とあんたに関わらない。……それで、万事解決」


近づいてくる阿武隈は、無言のまま。


「ほんっと、ごめん。悪かったよ……阿武隈」


阿武隈の顔から視線を逸らすように、目の前でぱん、と両手を打ち合わせて、北上は頭を下げる。


その北上の前に、阿武隈が立つ。




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