23:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:35:31.06 ID:wXX+fiS7o
「先生。かつてのアイドルたちも、進路調査には適当書いていたんでしょうか」
「あはは。 どうでしょうね……」
背を向けたまま、先生は静かに笑います。
「確かに、アイドル志望ですなんて書くと怒りそうな先生はたくさんいるでしょうね。年配の方だととくに」
「……もし、生徒の中に『本気でアイドルを目指しています』っていう子がいたら、先生はどうされます?」
「うーん……」
これはもう、ほとんど白状しているようなものでしょう。
さっきから心臓のどきどきが止まりません。
―――先生なら、この人なら、応援してくれるかも、あるいは―――という期待と恐怖。
考え込む様子の先生をじっと見つめながら、答えを待ちました。
「…………先生なら、一度は止めますね」
「そ、そうですか……」
とたんに目の前が暗くなって、少し血の気が引くような感覚に襲われます。
「ただ」
ただ、先生が続ける言葉が、その本音を表しているような、そんな気がしました。
「教師としてはそれが正解なんです。大切な教え子に『よしわかった、アイドルを目指せ』などと、面と向かって無責任には言えません。何のサポートもできるわけないんですから。
それでももしその子が本気だというなら、どのみち先生の言うことには耳を貸さずアイドルを目指すでしょうしね」
「……!」
そこまで本気ならもう止めてあげません、と冗談気味に語っていたのが、なんだか印象的でした。
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