5: ◆FreegeF7ndth[saga]
2018/12/09(日) 13:01:59.40 ID:fZLSzMfRo
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ある日、アタシはシキちゃんと二人きりのとき、単刀直入に、
『シキちゃんは、アタシにおしおきされたい?』って聞いた。
そしたらシキちゃんは、するするとアタシの肩に腕を回してきて、
カタツムリのようなじっとりとした動きで、くちびるを近づけてきた。
『ムリヤリだなんて、イケない子だね。シキちゃんは』
近づいてきたシキちゃんに向けてそうささやくと、
びくんって、シキちゃんの動きが止まる。
『何度おしおきされても、わからないの?
それとも逆かな。アタシにおしおきされたくて、こんなコトしてるのかな』
アタシは、力を失ったシキちゃんを逆に押し倒した。
『ナニそれ。アタシ、シキちゃんの駄々っ子につきあわされてるオモチャなの?』
シキちゃんの丸い目を覗き込むと、それらが急によたよたぐらぐら狼狽し始めた。
『ふ、フレちゃん、ゆ、る、して』
『ゆるして? 許すも許さないも、ないよ』
『ゆ、る、して……』
とにかくシキちゃんは『ゆるして』ほしいらしい。
『ゆるして、っていうなら、イケないコトやってるって自覚はちゃんとあったんだ?』
『……う、うん……っ』
『シキちゃんって、悪い子だね』
あたしは座って、膝の上をポンポンと手で示した。
『悪い子は、おしおきが必要かな?』
シキちゃんは、潤んだ目であたしをじっと見つめて、
それからおずおずとあたしの膝の上に身を投げだしてきた。
『えいっ』
ぱーんと、シキちゃんのお尻に一発目。
シキちゃんから『あぅあぅ』なんて、おさなげな呻きが聞こえる。
『えいっ』
ぱーん、ぱーん、ぱーん。
アタシのスイングも、前よりいい音をさせるようになった。
シキちゃんの声は、だんだん湿っぽくなって、シキちゃんの顔は、安堵に弛んでいった。
おしりペンペンって不思議だ。
シキちゃんは、わけのわからない行動でアタシを混乱させてるのに、
こうしておしりペンペンしてると、シキちゃんを許してあげようという気分が湧いてくる。
ちょっとほかにはない溜飲の下がりかたをする。
シキちゃんは、『ゆるして、ゆるして』って呻く。
でも、あたしが手を止めると、悲しそうな声で『ゆるして、ゆるして』って鳴く。
何度も何度もおしりペンペンしてる――そのうちに、なんとなくわかってくる。
シキちゃんにとって、おしおきと、それを通して得られる許しは、
カフェ・オ・レのコーヒーと牛乳みたいに溶け合っていっしょになってるんだね。
なんでそうなったのかは、フレちゃんの与り知るところじゃない。
まー、シキちゃん自身、シキちゃんパパ、シキちゃんママを見る限り、
シキちゃんったらフツーの育ち方してないみたいだから、そのあたりのナニかかな。
ソレ以上深煎り――もとい、深入りする気にはならないけど。
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