10: ◆FreegeF7ndth[saga]
2018/12/09(日) 13:05:42.85 ID:fZLSzMfRo
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アタシは一番近くの女子トイレの個室にシキちゃんを連れ込んで、
カチャンと施錠して、シキちゃんの背中を個室の仕切りに押し付けさせ、
そのままくちびるを奪った。
ちゅっちゅっちゅっちゅるっちゅるっちゅ、なんて。
アタシたちのほっぺたの間で、鼻息が乱気流となって混ざり合う。
「んっ……んっ、う――ぷはぁ……ぁ、はぁ……っ」
くちびるを解放してすぐ、アタシはシキちゃんに問い詰める。
「ねー。ラ・ロズレのなかで、誰の匂いが一番よかった?」
アタシは、シキちゃんの髪の毛とチョーカーを撫でてささやいた。
「フレちゃん、だよーっ」
ぎゅーっと抱きしめてあげる。シキちゃんもアタシにじゃれついてくる。
トイレの芳香剤に混ざって、アタシたちの匂いが染み出してく。
「んっ、はぁ、あっ」
服の衣擦れももどかしく、アタシとシキちゃんは、顔と髪の毛を擦り付け合う。
アタシたちが身動きするたびに、鎖が――やっぱり合いの手みたいに――カチンカチンと鳴る。
アタシが、シキちゃんのチョーカーの内側で浮き沈みする筋をぺろんと舐めると、
「あ、ふ、ぁあっ……」
なんてシキちゃんが色っぽい声をさせてくれる。
「シキちゃんの味も、おいしいよ」
興奮のあまり、手が震えて、アタシは握った鎖をカチカチさせてしまう。
そうすると、シキちゃんの首や背筋がびくんと波打つ。アタシの心臓もどくんと跳ねる。
カチン、カチン、カチン。
「あ、ふぁ、あぁっ……!」
「んんっ……シキ、ちゃん……っ」
こうして二人、繋がれたまま鎖を鳴らし続けてたら、二人の感覚がだんだんユニゾンしていって、
そのまま一人と一つに重なることができる――そんな錯覚がした。
カチン、カチンって音が積み上がっていくたびに、
シキちゃんの匂いも、アタシの匂いも、濃くなって、狭いトイレの個室を塗りつぶしていく。
「あ――んぁ、あっ……!」
シキちゃんの腰が抜けて、ずりずり背中をこすりながら落ちていくのを、
アタシは腕でかろうじて支える。
「力、抜けちゃった?」
「……うん」
上目遣いのシキちゃんの丸い目が、たまらなく潤んでいて、
それに誘われ、アタシが上からくちびるを奪おうとした時――トイレに向かってくる足音を聞いた。
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