ターニャ・フォン・デグレチャフ「座薬型、演算宝珠……?」
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34:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/09(日) 01:28:02.08 ID:qy0gTOWh0
「私も、少佐殿の気持ちが知りたいのです」

セレブリャコーフ少尉は、折れなかった。

「デグレチャフ少佐と同じ苦しみを、分かち合いたいのです! どうか、ご理解ください!」

(何が帝国の為だ。結局、私の為じゃないか)

副官の真摯な思いが伝わり、言葉を見失う。
デグレチャフ少佐は、苦悩した。
その気持ちは素直に嬉しいが、迷ってしまう。
すると、ここぞとばかりにMADが口を挟む。

「素晴らしい副官じゃないか、少佐」
「はい。彼女は私の宝物です」
「では、私は席を外すことにしよう」
「随分と素直に諦めるのですね?」
「観測機材の電源は入ったままだ。実験をするのも、しないのも、貴官らの判断に任せる」

MADはやたら芝居掛かった台詞を吐いて。
白衣のポケットから新しい演算宝珠を取り出し、それをこちらの手に握らせ、退室した。
やはり、食えない人だ。
要するに、2人きりで実験しろということだ。
邪魔者が消えることで、環境を整えた。
本当にズルい大人だ。ああはなりたくない。

「あの、少佐殿……?」
「はあ……わかった。私の負けだ」
「では、実験をしてよろしいのですね!?」
「ああ。立ち会い人は私だが、構わないか?」
「もちろん! 少佐殿に全てお任せします!」

渋々、許可を出してやると、彼女は破顔した。
眩しい副官の笑みに目を細めて、少佐は思う。
なんとしても、この笑顔を守ってやりたいと。


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