55: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/18(火) 18:04:36.81 ID:PL/4tLVM0
「収録おつかれさま。おもしろかったよー。仁奈ちゃんは楽しかった?」
「はい! きんちょーしましたけど、すげー楽しかったですよ。お友達もできたですし、次の収録が楽しみでごぜーます! あっ、でも……」
笑みを消して、しゅんとしている仁奈ちゃん。
「アケミちゃんが、ちょっとこわかったでごぜーます」
アケミちゃんってあのタワー崩した子だよね。
すごく勝気そうな子、事務所のメンバーでいえばレイナサマみたいな。
「なにがあったの?」
「収録が終わったあと、アケミちゃんに、あんたが話しかけたせいで気が散ったから失敗した、って言われちまったですよ」
むむ。それはおかしいんじゃないかな。
仁奈ちゃんが話しかけようが話しかけまいが、あのタワーはもう構造上限界だった。
むしろちゃんと忠告を聞いて追加の紙を立てようとしなければ、あのチームは優勝できていたはずだ。
それなのに仁奈ちゃんのせいだって?
「プロデューサーに言って、注意してもらおーか?」
「え?」
「これからも変な絡まれ方されたら大変だし、釘を刺しておいたほうがいいんじゃないかにゃ」
「くぎ? なんのことかわかんねーですけど、仁奈はほんとにだいじょうぶでごぜーますよ」
「……ほんとに?」
「ほんとうでごぜーます!」
力強く頷かれてしまった。
仁奈ちゃんがそう言うならしょうがない。雑念を頭から追い出す。
……よし、ちょっと遅くなったけど料理の準備しよっか。
『速報です』
いつの間にかニュース番組になっていたらしい、テレビからそんな声が聞こえてきた。
テレビをつけっぱなしにしてたことを後悔したのは、たぶんはじめてだと思う。
『アメリカの●●大学で教授を勤めている一ノ瀬博士が新元素を発見したとの情報が、さきほど入ってきました』
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