56: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/18(火) 18:06:00.69 ID:PL/4tLVM0
「……」
『新元素発見!』という派手なテロップの横に見覚えのある顔が添えられている。
ふーん、まだあの大学で教授やってるんだ。
あたしの記憶にある彼よりも、幾分か老けているように見えた。
「一ノ瀬って志希おねーさんと同じ名前でやがりますね」
「ああ、うん。だって、あたしのパパだからね」
「え、……ええー!? 志希おねーさんのパパって学者さんでやがりますか!!」
「そだよー。あたしね、留学してたときはあの人と同じ場所で一緒に研究してたんだ」
「すげーー! だから志希おねーさんは頭いいんでごぜーますね!」
キラキラしたお目目に向かって肩をすくめて返事をする。
このおはなしはこれでおしまい。
「さあ、ご飯を──」
「志希おねーさんは、パパと一緒に暮らしたくはねーでごぜーますか?」
「……」
──志希、どうせ暇なんだろ。早く準備を。
「……にゃはは。あの人は研究、あたしはアイドルやって仁奈ちゃんといるのが楽しいから別にいいかなー。ご飯食べよっか、ちょっと待っててねー」
会話を切り上げて台所に向かう。
仁奈ちゃんがなにか言いたげな顔をしているように見えたのは、あたしの気のせい、そのはずだ。
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