一ノ瀬志希「ママの気持ちになるですよ」
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40: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:23:25.81 ID:kZJKvpHt0
「仁奈ちゃん、ママが来てくれるって喜んでて、そのためにレッスンがんばってたんだよ。だったら、呼べばいいと思わない?
なのになんで嫌がったの? なんで? わかんない。ねぇ奏ちゃん。あたし、どうするのが正解だったと思う?」

「知らないわ」

 まさかの即答。
 いやいや、もうちょっと考えてくれてもいいんじゃないかにゃ。

「だってあたし、あの子のことぜんぜん知らないもの。あたしが知ってるのは、パパやママが大好きな頑張り屋の女の子ってことだけ。ママに迷惑をかけたくなかったから、なんて勝手な推測はできるけれど。神様でもないのに、偉そうに人の感情を知った風にして語りたくないでしょ」

 モニターから大きな歓声が聞こえてきた。
 さっきまで踊っていた子たちが出番を終えて、ファンに手を振りながらステージから消えていく。
 仁奈ちゃんの出番は次の次だ。

「仁奈ちゃんに直接聞きにいけばいいじゃない。出番までまだ時間があるでしょ。ちゃんと話せば仁奈ちゃんの気持ちがわかるんじゃないかしら」

 
 ──志希おねーさんに、仁奈の気持ちなんてわからねーでごぜーますよ!!


「……」

「志希?」


「にゃはは。飽きちゃった。志希ちゃんママやるのやめまーす」

 もともと律儀に付き合う義理なんてない。
 プロデューサーに押し付けられて、おもしろそうだから一緒に暮らしてみただけ。
 そもそもあたしはママってキャラじゃないし。
 夕飯つくるのもめんどくさくなってきたし、ここらが潮時じゃないかにゃ。

「そうだ、奏ちゃんがあの子のママになってみない? オトナっぽいし、なんだかすっごくお似合いだと思うなー」

「……志希」

「なんか散歩行きたくなっちゃった。志希ちゃん、いまから失踪するから、あとは──」




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