勇者「最期だけは綺麗だな」後編
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45: ◆IULkuZ.Noal.[saga]
2018/12/23(日) 01:04:04.54 ID:V6ahP/vyO

巫女は現在を語る。

その歴史は今や歪められ、進化した人間は総じて悪魔とされていること。

人間は自らの罪を嘘で埋没させ、その積み上げた嘘こそが歴史となったこと。

そして、一部の人間達は進化を目指し、過去と同様の過ちを繰り返そうとしていること。

人間は過去を知らないが故に、また再び同じ道を歩もうとしている。

真実の隠蔽、罪なき時代の訪れ。

(やはりそうだったか。だが、虚しいものだな)

分かっていても痛みはあった。

時代の全てが正しく語り継がれることはないだろうが、なかったことにするなどとは思わなかった。

猿王は思う。

過去を歴史として背負いきれないからこそ全てを覆い隠し、遂には隠したことすらも忘れ去ったのではないのか。

それは人という種そのものが選択した一種の自衛なのではないか。

だからこそ古き神々を廃し、自らの望む理想的な神を創り、崇めたのではないのか。

何故そうしたのかと聞きたいが、それに答える存在はこの世界にも異界にも存在しない。

全ては過ぎ去り、全てが埋もれた。

答えを知るのは此処には居ない魂。穢れた輪廻に呑まれ、澱み、獣となった者達なのだから。



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