勇者「最期だけは綺麗だな」後編
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44: ◆IULkuZ.Noal.[saga]
2018/12/23(日) 01:02:09.64 ID:V6ahP/vyO

二人は焚き火を挟み、互いの知識的空白を埋めるように言葉を交わした。

生きた時代、人間として存在する時代が異なる二人の知識には大きな隔たりがあった。

まず、巫女は自身の成り立ちから話さなければならなかった。

名のない何かであった頃に見ていた景色、人々の祈りと呪詛、そして墜落。

人は神を目指すことを諦め、縋り付く為に彼女を神へと堕とし、遂には地上に引き摺り落とした。

神と呼ばれた何かは肉体を得て少女となり、彼と出会い僧侶となる。

成長と喪失、爆発と別離。巫女は淡々と現在に至るまでの二つの旅路を語り終えた。

猿王は過去を語った。

遠い過去、若年ながらに人を超越し、その力に溺れ、振り回され、人を嘲ったこと。

そんな自分を龍が打ち負かし、封じることをせずに諭してくれたこと。

その後は龍と共に、後に悪魔と呼ばれる支配者達を封じる戦いに身を投じたこと。

進化した全ての人間が支配者として振る舞っていたわけではないこと。

極僅かな間とは言え、異なる種族が共存していた時代は確かにあったこと。

その長きに渡る戦いの終わりに、龍に願い異界での眠りについたこと。

そして今、友の声に応えて目覚め、友を救うべくこの世界に舞い戻ったことを。



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