12: ◆IULkuZ.Noal.[saga]
2018/11/30(金) 00:24:38.30 ID:ACoeMgAUO
(夜まで……)
ほんの数時間の内に妹が見付からなければ、捜索は明日となる。
既に死亡している可能性など欠片ほども考えたくはなかったが、妹の死が脳裏を過ぎる。
妹は防寒着など着用していない。その状態で、夜を越せるかどうか分からない。
妹は聖水など所持していない。今この瞬間、魔物に襲われているかもしれない。
生命を脅かす要素は捨てるほどにあるが、安泰の要素など一つもない。
考えれば考える程、望みは削られていく。
(もし見付からなかったら、私が……)
彼女は夜になっても見付からなければ自ら捜しに行こうと考えていた。
勇者に渡され、今は床下に隠している武器を持って行くことも検討した。
短剣か、槍か、他には何があるか。
しかし、それも無駄に終わった。彼女の様子を不審に思った兵士の一人が見張りに付いたのだ。
彼女にはもう、祈る他になかった。
何処の誰に祈りを捧げれば良いのか分からなかったが、ただただ祈り続けた。
妹に何が起きているとも知らずに。
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