90: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:41:40.51 ID:6W5BK61q0
「今日、彼女さんは一緒じゃないんですか? 珍しいですね」
ガラス細工屋の店員が俺に声をかけた。
「ええ、彼女はちょっと入院……してまして……」
俺は人目も憚らず、涙を流した。
まだ全ての記憶を取り戻したわけではないが、彼女が俺にとってどれだけ大切な存在だったか、どれほど愛しているのかは、はっきりと思い出せる。強烈なまでに。
彼女がいない生活は、ひどく空虚だ。
店員が慌てて店の奥からタオルを持ってきてくれた。
「すみません、事情を知らなくて」
「いえ、こちらこそすみません。大の大人が泣き出してしまうなんて」
ああ、なんてみっともないのだろう。
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