8: ◆uc9JpVKLUc[sage saga]
2018/11/12(月) 21:19:18.44 ID:AiF+zHKuO
しかし、軍はそれを許可しなかった。
代わりにある部署への配属を通達してきた。
その部署名は『キサラギ』
その名前を聞いて、僕は顔をしかめてしまう。
人間同士の戦争の時からキサラギという部署は存在していたが、当時から嫌な噂しか耳に入ってこなかったからだ。
軍には昔から二つの武器開発の部署があった。
ひとつは有澤、もうひとつが件のキサラギ。
有澤が主に武器開発や製造を担い、キサラギがそのサポートを行う、という立場と公にはそうなっている。
だが実際には、キサラギは有澤のサポートを行わず、全く別のことをやっているという。
その内容は、人体実験や生体兵器の開発。
あくまでそれらは噂だけど、今まで僕が整備を行ってきて、キサラギから部品が送られてくることはなかったし、
キサラギに呼び出された同期の女の子は何故かそこから帰ってこず、いつの間にか戦死扱いにされていたりしていたから、
余計にその噂が真実味を帯びていた。
そんな嫌な噂ばかりの部署への配属。いい気分はしなかった。
けれども、僕はその配属命令を受諾した。
もう自棄になってしまっていたというのもあったけど、それよりも人体実験で殺してくれるかもしれないという期待があったから。
ただ、人体実験で誰かを殺すのだけは勘弁だけど。
ああ、どうか、僕を早く殺してくれますように。
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