7: ◆uc9JpVKLUc[sage saga]
2018/11/12(月) 21:14:40.59 ID:AiF+zHKuO
でも、その喜びはすぐにぬか喜びとして変わってしまった。
戦争が終わってからすぐ僕が軍に退役願いを出そうとしたころ。……今からで言うと半年前くらいだろうか。
深海棲艦という未知の生物からの襲来を受けたんだ。
深海棲艦との名の通り、海からその姿を現し、世界に同時攻撃を仕掛けた。
それらに人類は抵抗したものの、戦争に疲弊した世界に抗う術はなかった。
海路を中心としたアクセスは分断され、補給を受けることのできない島国や、武器を作ることのできない国々は深海棲艦の進行のうちに飲まれ、
人類の棲息圏はみるみるうちに収縮し、武器の開発が進んだ先進国を残すのみとなってしまった。
その先進国たちも何とかと深海棲艦の進行を防いできたが、敵の特性、戦争による疲弊、補給路の分断による慢性的な物資、人材の不足に悩まされ均衡を保つのがやっとというもので、
現状が続けば、いずれは必ずその均衡は破られるという絶望的な状況だった。
当然、そんな状況で僕の軍の退役が認められる訳もなく、軍への残留命令を受けた。
その命令を受け、僕はすぐに前線への配属願いを出した。
理由は、ただ死にたかったから。
戦争になるのならば、いずれにしても命を奪い、奪われる恐怖から逃げられることはできない。
それなら、すぐにでも敵に特攻し、それらの恐怖から逃げようと思ったんだ。
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