11: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:22:26.12 ID:rpP0yHwMo
「さようならー!」
「はい、さようなら」
「元気のいい子供達だなぁ」
先生への挨拶を終えて校内を懐かしい気持ちで見学する。古びた教室も柱の傷もあの頃のままで、木造建築の優しい香りが思い出を泉のように湧き上がらせてくれた。ちょうど帰りの会が終わったところなんだろう、教室から駆け出す子供達は元気いっぱいで体力が有り余っているみたいだ。このままグラウンドでサッカーでもやるのだろうか。
「なぁ、奈緒。本当に良いのか?」
「まだ言ってるのかー? あたしなんかでも力になれるのなら、いくらでも歌ってあげるって。笑顔でさ、この学校とサヨナラして欲しいし」
きっと先生もまっつんも本気で言ったわけじゃなかっただろう。明日の全校集会で奈緒に歌ってほしい。軽い冗談のつもりで言った一言を、カミさんはなんと間に受けてふたつ返事で許諾してしまった。その瞬間の2人の焦りっぷりと来たら写真に撮って52期生同窓会の案内状に貼り付けたいくらいだった。
「ほら。昔やってたじゃんか。廃校になる小学校にツインテールの3人が遊びに行ったやつ。ああいうの好きだからさ、あたし」
「ツインテールになるのが?」
「あたしがしたら雑コラにしかならないぞ!?」
その反応は予想外だったのか顔を真っ赤にして反論する。ツインテールの奈緒かぁ。今まで意識したことなかったけど……。
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