24: ◆jA.QsgyP6U[saga]
2018/10/18(木) 01:10:15.31 ID:YlJGVrJ2O
おい今の聞き間違いじゃなかったら俺がこの最前線の指揮官になっちゃってますが大丈夫ですか!?
聞こえなかったんでもう一度お願いしますと頼んだ良太であったが太田指揮官は、はっはっはと笑うところから忠実に再現してみせた。
いや全然面白くないよ、てか俺が指揮官になったら太田指揮官はどうなるんだ全く理解が出来ん……
現実を呑み込めない。まさか実は今自分はまだ拉致られた黒塗り高級車の中で、これは夢の出来事ではないのかと疑い始めた。
管轄とは言っても一介の研究員に過ぎない良太にとって、それはあまりにも唐突で、あまりにも重過ぎる。さらに言えばグリフィンの指揮官というのは誰にでも務まるものではない。キッチリとした訓練を受け、戦術や隊列などの所謂戦略を学び、リーダーシップに長けた者でなければならないはずだ。
良太にあるのは精々人形達に対する知識と、勝手に創り上げた英雄像のみだ。
ーー断らないと……
昔の良太であれば英雄の頼みならと、喜んで引き受けたかもしれない。今度は自分が英雄になる番だと、意気込んでこの席に身体を預けたかもしれない。夢が叶ったと、達成感に打ち震えたかもしれない。
しかし今の良太には分かる。指揮官という者の重さが、責任が、非凡さが。そのいずれを考慮しても、自分にこなせる物など一つもない。
壁に飾られた盾に、武器に、部下や上司に、国民に、世界に……そして何より、自分の為に戦ってくれる人形達に申し訳が立たない。
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