晶葉「できたぞ助手!アイドルがどんな恥ずかしい質問にも答えてくれるスイッチだ!」
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名無しNIPPER
[saga]
2018/09/01(土) 11:44:41.84 ID:BVb833NT0
――できたぞ助手! アイドルとどっぷりドキドキ同棲生活ができるスイッチだ!
P「まさか最初から……? いや、わからない……どこまでが唯の計画だ?」
唯「全部だよ」
P「いや、そんなわけ……だって、そうだとしたらまゆはどうなるんだ? まゆと俺が一緒に過ごすことになんの意味が……?」
唯「わからないかなー。わかってくれないかなー。わかってほしいのになー」
P「唯が、俺とまゆを一緒にした理由……? シェルターがちゃんと動くか確かめるため?」
唯「ぶっぶー。不正解〜」
P「……じゃあ、なんだ? わからない……俺といたいだけなら、最初からバカンスを餌にして、シェルターにほいほいされた俺と、二ヶ月過ごすことだってできた。それをわざわざ半分まゆに譲る……? どうしてこんな回りくどいことを……」
唯「ふふふ。答えはねぇ、食堂で教えてあげるっ。ほら、ついてきてPちゃん!」
シェルター・食堂
唯「はい、では正解がこちらになりまーす」ゴト
P「……こ、これは……まさか、時子の豚丼……」
唯「そう、時子さん直伝のトクセイ豚丼」
P「これが正解……?」
唯「うん。冷めちゃうといけないから、食べながら聞いてね」
P「わかった。いただきます」
唯「……ゆい、本当はね、Pちゃんにカツ丼を作ってあげたかったの。でもね、ゆいに揚げ物はまだ早いって時子さんが。泣いちゃうくらい悔しかったけど、本当にゆいのトンカツってダメダメだったから……それで、時子さんに聞いたの。どうしたらいいですかって。そしたら、誰にも教えないっていう条件で、ゆいでも努力すればなんとか作れるだろうって、この豚丼のレシピをくれたの」
P「うんうん、うんうん」
唯「ちょうど、ノート1ページ分のレシピでね? すっごい綺麗な字で書いてあって……でも、何が書いてあるのか全然わかんなかったの。たぶん時子さんも、ゆいのためにすっごく丁寧に書いてくれたんだろうけど……料理の基礎ができてないゆいには、もうなにがなんだかさっぱりで。とりあえず、レシピに書かれてる用語の意味をネットで調べて、ゆいでもわかるように翻訳したんだけど……それでも上手にできなくて。ゆいには何が足りないんだろうって必死に考えたんだ。それで出した結論が、経験が足りない、だったの」
P「なるほどなるほど」
唯「じゃあ、足りない経験を補うにはどうすればいいか。経験者に教えてもらうのが一番いいよね? でもそれだと時子さんのレシピを秘密に出来ないかもしれない。どうしよどうしよって考えて、晶葉ちゃんに相談することにしたんだ。トラプリいちゃいちゃ生放送の件についても話したいことがあったし。それで、晶葉ちゃんにいろいろと教えてもらって、ここを使わせてもらうことになったんだ」
P「そうかそうか。ごちそうさま。美味しかったよ、唯」
唯「えへへ、お粗末様でした。じゃあ食器、片付けちゃうね」
P「いや、唯は座っててくれ。洗い物は俺が――」
唯「いいからいいから。ゆいね、ずっと知りたかったんだ。好きな人がきれいに食べてくれた食器を洗うのって、どんな気持ちなんだろうって。毎日毎日、幸せそうな顔で洗い物をしてるまゆちゃんを見ながら、ゆいもやってみたいなーってずっと思ってたんだ」
P「……まい、にち??? まゆを……??? みながら……????」
唯「うん、そうだよ。ゆいはね、ずっと台所に立ったまゆちゃんを見てたの。食材の切り方とか、包丁の使い方とか。料理のときの火加減も、並行調理の方法も、食器の洗い方も、全部まゆちゃんを見て盗んだんだ。そしたらね、ゆいも自分でわかるくらいに料理が上達してったんだよ。やっぱり経験者に教えてもらうと違うよねー。まあ、まゆちゃんはゆいが見てることは最後まで気づかなかったみたいだけど」
P「!? ???? ??? !!!!????」
唯「……ああ、こんな気分だったんだね、まゆちゃん。このぴかぴかの食器に、これから毎日料理を作って、毎日Pちゃんに食べてもらえるんだ……ふふっ、想像するだけですっごい幸せになっちゃう……! うふ、ふふふふふっ!」
P「ゆ、唯……? い、いつからだ? 一体どこから覗いてたんだ?」
唯「もう、Pちゃんってばわかってるクセにぃ……もちろん最初からに決まってるじゃん。ゆいはぜーんぶ見てたよ。Pちゃんがまゆちゃんに膝枕して、紅の豚を見たことも。まゆちゃんの手作りのお菓子を食べさせてもらいながら、ずっとゲームしてたことも。二人で肩を寄せあってプラモデルを作ってたことも。女の子の幽霊のすすり泣きを聞いて、パニクったまゆちゃんをなだめるために、まゆちゃんが眠るまでPちゃんが手を握ってあげたことも。二人がこのシェルターで何をしてきたか。どんなことを話してきたか。全部、全部、知ってるんだよ。まゆちゃんが作った料理も一皿も残さず記録してあるし、Pちゃんがスクリーンで見た映画もアニメもゆいは一緒に見てたの。なーんにも知らないPちゃんと、まゆちゃんのすぐそばで、ゆいはずっとずっと二人を見てたんだよ」
P「そ、そんな馬鹿な。一ヶ月だぞ? 一ヶ月もお前は――!」
唯「うん。やっとわかってくれた? ゆいはね、監督官室にずっといたの。立入禁止区域のちょっと先にある部屋でね。壁一面にモニターがある以外は、よくある1DKのアパートみたいになってて。部屋からでなくても生活できるように設計されてるんだー」
P「……もしかして、まゆが聞いたすすり泣きって……」
唯「うん、たぶんゆいじゃないかな? すっごいよかったよね、宇宙よりも遠い場所! ゆい、ぼろぼろ泣いちゃって……たぶんその時の声が、通気口のどこかから漏れちゃったんだと思う」
P「そこまでしなくたっていいじゃないか……」
唯「あー、うん。ごめんね。ゆいもやりすぎたかなーって思う。気持ち悪いよね、ストーカーみたいで。でもしょうがないじゃん。だってゆいは――」
P「そうじゃない! 違うだろ、唯……そもそも一ヶ月もひとりぼっちとか辛すぎるだろ……そのために晶葉にひどいことまでして……そんな選択をするくらいなら、俺に相談してくれたっていいじゃないか……」
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