42: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:52:36.52 ID:fSt5IFCp0
「えーと、とにかくすまんが行ってくる! カップラーメン作っておいてくれ! 俺たちの分!!」
「え、まあいいけど。いてらー」
本当にタイミングというものが悪すぎる。
紅莉栖のことだから、屋上のドア側の壁で三角座りをしていることは容易に想像できる。
ラボを出てから、どのように話しかけようか、悩みながら階段を駆け上がる。
だが――紅莉栖には悪いが、この時間がとても楽しかった。
数えきれない程の苦しみや悲しみを超えた先のこの世界で、誰かが死ぬこともなく、誰かに殺されることもなく。
平凡なトラブルがあって、色々駆け回って。
そこに紅莉栖が居て、一緒に騒いだり喧嘩したりして日々を過ごしていく。
こんな時間を、一体どれほど望んでいたことか!
今の状況を鑑みて紅莉栖に申し訳無さを感じつつ屋上に出ると、予想通り紅莉栖がドアのすぐ側で三角座りをしていた。
俺の姿を見て、紅莉栖が震えるように言葉を漏らす。
「……おかべぇ」
天才科学者の雰囲気はどこへやら。
ひとまず隣に座り、頬を紅潮させ涙目の紅莉栖を捉える。
「――紅莉栖」
さて、どうして慰めようか。
紅莉栖がメイド服を脱ぐのは、どうやらまだ先になりそうだった。
-終-
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