38: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:46:54.43 ID:fSt5IFCp0
「……で? あんたはもう満足したの?」
「どういうことだ?」
立っている紅莉栖と座っている俺。見下ろされるように、堂々と紅莉栖は俺に訊く。
「私がこんな服を着るなんて滅多にないのよ? 既に夜だけど、もう着替えてもいいの?」
そこまで言われてようやく趣旨を理解する。
この言い回しはやはり紅莉栖らしいというか、相変わらずというか。
「確かに、それは勿体無いな」
「勿体無いでしょ?」
ふふん、と紅莉栖は朗らかに笑った。
「そうだな……なら、カップラーメンでも作ってもらおうか」
「ふふ、昼間の仕返しのつもり?」
まさか、と返しておく。
特に何かをやってほしい訳ではなかった。
自分の素の言葉に、紅莉栖が反応してくれただけでよかったのだ。
これ以上望んでは罰があたってしまう。
「いいわ、作ってあげる。お湯を沸かすから待ってて」
紅莉栖はそう言ってふわりとスカートをはためかせ、そのままキッチンの方へと向かう。
我ながら馬鹿なんじゃないかと思うが、もの凄く今の状況を楽しんでいる自分がいる。
……いや、これは馬鹿になっていると言うのだろう。
以前ならば色恋など興味はなかったしするつもりもなかったのだが、まるで人が変わっているかのようだ、と一人苦笑する。
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