36: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:44:05.55 ID:fSt5IFCp0
扇風機の風がそっと紅莉栖の髪を揺らす。
「程度の差はあれ、誰にでもリーディング・シュタイナーは存在する。それと入り混じってるからなのかもな」
「つまり、α世界線の私も今の私と同じような感じだったわけだ」
潜在的な第一印象ともいうべきか。
たとえ初対面であっても脳の奥底に楽しく過ごした記憶があれば、それを直接今の紅莉栖が思い起こさなくても浅い部分で認識できる。
この世界線で出会ってから、まだ時間はさほど経過していない。
にもかかわらず気を許せているのだとしたら、その影響もあるのかもしれない。
そう思う俺を、紅莉栖は真っ向から否定する。
「でもそうじゃない。私がラボをホームみたいに落ち着けているのは、α世界線の私の記憶があったからじゃない。ここにラボメンが……岡部がいるからよ」
一つ間を置いて続ける。
「この場所に鳳凰院凶真が居て、椎名まゆりや橋田至も居て、他のラボメンも居て……岡部倫太郎も居る。だから落ち着くの。私の感情に……私の気持ちに、私以外の牧瀬紅莉栖は関係ない」
紅莉栖は、俺が話したα世界線での出来事を信じていない訳ではない。
その上でそう言い切ったのだ。
「……物好きが居たものだな」
「あんたがそれを言うな」
示し合わせたかのようにお互い笑い合う。
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