23: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:26:13.30 ID:fSt5IFCp0
「――無理言って悪かったな。でもその格好も似合っている。格好いいぞ」
事実、普段のクールな雰囲気といいすらっとした背筋、そして真っ直ぐ相手を捉える瞳。
予定が変わったとはいえ、その男装姿も十分に美しかった。
「っ……! あっ……あり、がと」
「あっ、照れてるニャ?」
顔を覆っていた手は外したものの相変わらずこちらに目線を合わせない紅莉栖に、フェイリスがにんまりとした顔で紅莉栖をからかう。
「てっ、照れてないから! 岡部が急にまともな事言ってくれたからびっくりしただけっ!」
「酷い言われようだな」
するとまた始まるいつもの紅莉栖の声。
最初にやると決めたのにも関わらず土壇場でやめてしまったことに内心落ち込んでないか少し不安ではあったが、そこまでの心配はいらなかったようだ。
そして、紅莉栖のその表情に安堵する自分が居た。
――ふと、周りを見ると他の客がこちらを見ていることに気づいた。
そりゃあ、メイクイーンナンバーワンメイドたるフェイリスがここにいるのだから見るよな――と思いかけて、取り消す。
男達は恐らく、男装姿の紅莉栖を見ている。
「……これは計算内か?」
そう言ってフェイリスを見ると、ちょいちょいと猫耳を触りながら苦笑した。
「ううん、ちょっと予想外。確かに格好いいなーとは思ったけど、ここまでお客さんを魅了するとは」
多分、普段見かけないがこんな美人がコスプレをしてここに居る、という”偏見”込みでの視線なのだろうが、それでも似合っていることに間違いはなかった。
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