16: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:21:37.05 ID:fSt5IFCp0
まずい。圧倒的に不利な状況だ。
「んっふっふ〜。どうするのニャ、キョーマ♪」
「猫娘! お前も笑うんじゃない!」
向かい側にはフェイリスが心底楽しそうに笑みを零す。この状況を楽しんでいやがるな!?
鳳凰院になれば即刻紅莉栖に禁止命令をくらい、下手に誤魔化せば論破される。
誰かに話を振ろうにもフェイリスは完全に俺の回答を待っているし、今日はまゆりはバイトじゃないらしい。
……これは詰みとしか言いようがなかった。
一度大きく唾を飲んで、深く息を吸う。
「……事実だ。メイクイーンの制服を着た紅莉栖を、見てみたいと、思ったのだ」
俺が諦めて素直に答えた時、気が動転して熱暴走を始めている紅莉栖が途端に冷えていくのがはっきりとわかった。
――確かに、α世界線で、俺は紅莉栖に惚れた。
苦しみ、絶望し、諦めようとしていた俺を導いてくれた。
終わりの見えない、果てのないループの中で、眩いほどの希望となってくれた。
それはこのシュタインズ・ゲートでも変わらない。
あの記憶が確実なレベルで残っていないのだとしても、あの感情が紅莉栖の中から消えてしまったとしても、紅莉栖は俺の好きな紅莉栖だった。
紅莉栖の姿や声を聴く度、心が高鳴る自分が居た。
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